2026年11月号掲載

プライベート・エクイティ資本主義が世界を食い尽くす

Original Title :Private Equity's Plan to Pillage America (2023年刊)

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著者紹介

概要

買収先企業を破綻に追い込みながら、自身は巨額の利益を上げる ―― 。医療や住宅、小売など、私たちの生活のあらゆる部分に手を伸ばすプライベート・エクイティ(PE)ファーム。彼らが富を搾取するメカニズムを豊富な事例とともに解説、そのビジネスモデルが、新たな金融危機の火種になりかねないと警鐘を鳴らす。

要約

プライベート・エクイティとは何か

 あなたは、プライベート・エクイティ(PE)をご存じだろうか? ブラックストーン、カーライル、KKRといったPEファームは、その名があまり知られていないにもかかわらず、この10年間でアメリカの形を変えてしまいそうである ―― 。

ウォルマートとアマゾンに次ぐ雇用主

 現在PE業界は、アメリカの証券取引所に上場している企業よりも多くの企業を所有している。KKRの投資先企業の従業員数は80万人を超えており、カーライルでは65万人、ブラックストーンでは55万人である。これらはウォルマートとアマゾンに次いで、アメリカで第3位、第4位、第5位の従業員数を誇る雇用主となる。

 しかし、こうしたPEファームについて聞いたことがある人は少なく、ましてや彼らの事業の仕組みを理解している人はほとんどいない。

 ある意味、彼らのビジネスは単純だ。PEファームはわずかな自己資金、多くの投資家の資金、そしてさらに多くの借入金を投じて企業を買収する。それから、数年後に転売して利益を得ることを目指しつつ、様々な手口を駆使してその企業から資金を抜き取るのだ。

ショップコの事例

 2005年、PEファームのサン・キャピタルはショップコを10億ドル強で買収した。米中西部地域の小売業者であるショップコは、地域住民にとって重要な存在だった。だが2019年、同社は破産を申し立て、事業を停止した。なぜか? 端的に言えば、PEファームが買収したからである。

 サン・キャピタルは、ショップコを所有していた15年近くの間に同社を破産させた一方で、数億ドルの利益を得た。その手口はこうだ。

 まず、ショップコに所有不動産の大部分を売却させた。小売業者にとっては、店舗を所有することが重要である。業績の良い時には家賃を支払わなくて済むようにし、悪い時には借入金の担保となるからだ。サン・キャピタルはほとんどの店舗の不動産を手放させ、ショップコは8億1500万ドルを手にした。しかし、サン・キャピタルはショップコに、もともと所有していた店舗の家賃を支払うという高額で延々と続く義務も負わせた。

 次に、サン・キャピタルは手数料を抜き取り始めた。同社は、自らに「配当」、すなわち通常は業績の良い時にのみ企業オーナーに与えられる金銭的報酬を支払わせるために、ショップコに1億8000万ドル近くの借入れを行わせた。また、四半期ごとに100万ドルの「コンサルティング」手数料を支払うことをショップコに要求した。

 *

 ショップコの事例は、サン・キャピタルの投資の中の稀な失敗例ではない。2005年、サン・キャピタルはガーデン・フレッシュ・レストラン・コーポレーションを買収したが、2016年には同社を破産に追い込んだ。2006年にはマーシュ・スーパーマーケッツを買収したが、2017年に同社は破産を申し立てた。

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