2026年5月号掲載

イラン現代史

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著者紹介

概要

中東情勢が、イランを中心に緊迫度を増している。アメリカ・イスラエルによる先制攻撃、それに対する徹底抗戦…。反米・反イスラエルの急先鋒として存在感を示すこの国は、どのような歩みを経て今日に至ったのか。1979年のイスラーム革命から2023年のガザ戦争まで、イランの政治・経済・社会の歴史をたどる。

要約

ホメイニー体制

 イランは、日本の約4.4倍の国土に約9000万人が暮らす。ペルシア人が人口の約5~6割で、残りはクルドやアラブなど多様な集団が占める。今日の政体はシーア派の政治理論に立脚し、さらにイスラームの理念に基づいて政治・社会運営を行うイスラーム共和制である。

反王政運動と革命

 イランでは1979年に革命が起き、パフラヴィー朝の王政が崩壊した。

 パフラヴィー朝では、第二次世界大戦後、米国の支援を受けた国王による専制体制が強化され、1960年代以降、極端な西洋化政策が推進された。しかし、経済的格差の拡大など矛盾が深まる中、イスラームが対抗的な価値として再発見され、反王政運動が広がり、最終的に革命へと発展した。

 この革命諸勢力の中心は、イスラーム法学者のホメイニー師であった。彼は著書『法学者の監督』で、法学者に指導される国家こそがイスラーム的に正当である、と主張した。

 通常、イスラームの預言者の使命は、神の法(イスラーム法)を人間にもたらすことと説明される。しかしホメイニー師は、神の法をもたらすだけでは十分ではなく、神の法を施行し、その諸規定を実行に移し、神の法が遵守されることで初めてイスラームが完全になると論じる。

 その上でホメイニー師は、公正な法学者が法の執行を命じられたと論じる。神の法を執行する以上、規定を適切に適用する必要があり、それを実践するためには公正である必要があるからだ。

 国王を批判する人々は、この国家像を王政に代わる新たな国家の青写真として捉えた。そして、ホメイニー師は革命運動の象徴となっていく。

米国大使館占拠事件

 ホメイニー師は1979年2月にメフディー・バーザルガーンを暫定イスラーム革命政権の首相に任命し、この政権に行政を委ねた。一方で自身は、司法・立法機関のイスラーム革命評議会を牽引し、影の政権として政治社会運営の諸側面を掌握した。

 その1つが国際関係、特に米国との関係だ。革命前の国王体制は強く親米を打ち出していた。革命政権は当然この外交方針から転換を図ろうとした。

 1979年、イラン・米国関係は劇的な変化を迎える。11月4日、ホメイニー師を支持する学生集団が米国大使館を占拠し、大使館員を人質にとったのだ。ホメイニー師はこれを「第2の革命」と呼び、占拠した学生らを支持する。

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