2026年5月号掲載

「右派市民」と日本政治 愛国・排外・反リベラルの論理

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著者紹介

概要

昔からある社会の仕組みを重視し、維持しようとする「右派」。彼らの思想に共鳴する一般市民の実像を1万人の調査データから探った。そこから浮かび上がってきたのは、大日本帝国時代や伝統的規範に強い愛着を示す4タイプの「右派市民」だ。その性別、学歴、投票行動などから、日本政治の右傾化を支える「民意」を読み解く。

要約

日本の右派の特徴

 2025年、自民党の中でも「右派」といわれる高市早苗が新総裁に選出された。また、近年は新興右派政党が躍進するなど、右派は政治の世界でもマスメディアやネットの中でも無視できない存在となっている。そんな右派の実像とは ―― 。

そもそも右派とは何か

 右派は「左派」との対比で用いられ、ほとんどの場合、政治における主要な対立を表す。

 従来の社会の仕組みを重視し維持しようとする立場が「右」(保守)。一方、ある理想を掲げ新しい社会を作ることを重視し、変革を試みようとする立場が「左」(急進・革新・進歩)とされる。

大日本帝国時代への愛着

 日本の右派の特徴は、国に対する愛着の対象が明治から敗戦にかけての「大日本帝国時代」を中心としていることだ。右派は、この時代の精神的基盤であった教育勅語を重視する。愛国心の醸成に執心する傾向があり、第一次安倍政権における「教育基本法改正」はその1つの達成といえる。

 大日本帝国時代を巡る歴史認識は、戦後日本社会において繰り返し問題となってきた。

 A級戦犯を含めた戦没者を祀る靖国神社に首相や閣僚らが参拝することが、国内外で反発を招いた(靖国問題)。過去の戦争に関して、日本の立場を正当化すべく歴史の定説に異議を唱えたりするような言説が問題となった(歴史修正主義)。歴史認識を巡って、教科書の記述についてもたびたび議論が起こっている(教科書問題)。

 これらの問題は、過去の日本を少しでも正当化しようとする試みから生じたものだ。こうした過去への回帰を含めた「強い国」の希求が、憲法改正の要求に表れている。なぜ憲法を変えねばならないのか。その動機は、敗戦によって愛する「過去の日本」と決別させられてしまったことだ。

右派の原動力となっているもの

 このように現代日本のナショナリズムは、大日本帝国時代における国家主義、侵略戦争と結びついているという特徴がある。

家族関係、性別に関する伝統的規範への愛着

 また、伝統的とされる社会規範の中でも、家族関係・セクシュアリティなどに関する規範に強い愛着があることも右派の特徴である。政府の結婚・家族に関する介入的政策や反フェミニズム運動などが、右派的な動きの具体例としてあげられる。

 世論の動向を確認すると、近年、男女の平等、家族観・結婚観における伝統的規範の弱まりは、ほぼ全ての世論調査で一貫して確認されている。例えば、「夫は外で働き、妻は家庭を守るべき」という考えは20世紀には多数派だった。1979年の調査では、7割以上が肯定的な回答をしている。ところが2024年の調査では、男性が約38%、女性が約29%となり、肯定的な考えが少数派になった。

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