2025年3月号掲載

Why We Die(ホワイ・ウィ・ダイ) 老化と不死の謎に迫る

Original Title :Why We Die (2024年刊)

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著者紹介

概要

なぜ人は死ぬのか? 老いや病を乗り越え、永遠に生き続けられないものか? 古来、様々な人が論じ、研究してきた問題に答えた書である。老化と死についてわかっていることを、最新の科学研究の成果を基に解説するとともに、長寿が社会にもたらす影響にも言及する。著者は、ノーベル化学賞を受賞した生物学者。

要約

寿命と老化

 人間の平均寿命は、ここ150年で2倍に延びた。主な理由は、疾病やその拡散の原因解明が進み、公衆衛生が改善したことだ。

 では、人間はいずれ病や死を克服し、現在の寿命の何倍もの期間生きられるようになるのか?

最も長生きした人

 多くの文化には、何百年も生きたとされる預言者や聖人に関する書物がある。ただ、信頼性のある記録が残っている中で最も長生きしたのは、1997年に122歳で亡くなったジャンヌ・カルマンだ。彼女は100歳まで自転車を乗り回し、亡くなる5年前まではずっとタバコを吸っていた。

 カルマンが生まれたのは150年も前だ。その後の医学の目覚ましい進歩を思えば、現代人は彼女よりはるかに長く生きられるのではないか?

 しかし、近年のデータは、最大寿命には上限があるという説を支持している。それまで150年にわたって上昇し続けた平均寿命は、2011年頃から上昇率が低下、2015~19年は横ばいになった。

 理由は定かではない。肥満とそれに伴う2型糖尿病や心臓血管病の蔓延のせいかもしれない。長生きに伴って認知症をはじめとする神経変性疾患の死因に占める割合が増えるが、現時点ではそれらの治療法がほとんどないためかもしれない。

 いずれにせよ、カルマンが亡くなって25年が過ぎた今も、その記録を超えた者はいない。

老化とは何か

 では、加齢とともに私たちの体内で具体的に何が起こるのか。

 老化とは、1つ、あるいは少数の独立した要因が引き起こすものではない。極めて複雑で相互に結びついたプロセスなのだ。

 

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