2023年9月号掲載

無形資産経済 見えてきた5つの壁

Original Title :RESTARTING THE FUTURE:How to Fix the Intangible Economy (2022年刊)

無形資産経済 見えてきた5つの壁 ネット書店で購入
閉じる

ネット書店へのリンクにはアフィリエイトプログラムを利用しています。

※『TOPPOINT』にお申し込みいただき「月刊誌会員」にご登録いただくと、ご利用いただけます。

※最新号以前に掲載の要約をご覧いただくには、別途「月刊誌プラス会員」のお申し込みが必要です。

著者紹介

概要

経済は停滞し、格差は拡大、そして競争は機能不全…。今日の世界経済は、様々な「壁」に直面している。これらの問題はなぜ生じているのか? 根本にあるのは、研究開発やブランド、ソフトウェアなどの「無形資産」が価値を持つ経済の台頭だ。“無形経済”が抱える課題の全貌を、金融・経済政策の専門家らが解説する。

要約

大経済失望

 20世紀末、世界経済に対して楽観論が横行した。新しい技術と新しいビジネス手法のおかげで、人類の繁栄が大躍進を遂げると期待されていた。

 だが、現実はまったく違うものとなった。過去20年にわたり、先進国経済のパフォーマンスは失望の連続だった。世界はかつてないほど豊かで、驚異的なテクノロジーが生活のあらゆる側面を変えつつある。それなのに経済的観点からすると、何かがおかしいのだ。

 21世紀の世界経済は、次の5つの問題に直面しているのである。

 ①停滞

 2020年の新型コロナ発生に伴う経済成長の低下は劇的なものだった。だが、それ以前も、豊かな国の経済はとても健全な状態とはいえなかった。

 20世紀後半の大半で、先進国は平均で実質GDP成長率2%超が当たり前だった。ところが、21世紀になると、経済成長率は50%もの大幅な低下を見せた。2000~16年、アメリカでの1人当たり実質GDP成長は年率1%ほどだ。

 世界金融危機以降の時期に注目すると、数字はさらに悪化する。2006~16年では、わずか年率0.6%しか成長していない。

 低成長は今やあまりに普通のことになってしまったので、コロナ以前ですら専門家はそれが当然だと思っていた。だが、ほんの20年前や30年前と比べても、これはショッキングな数字だ。

 だが、金利は10年以上にわたって低いのに、成長は低いままだ。さらに、この低成長が起きているのは、技術が進歩していると広く信じられている時期だ。これが本当なら、低成長などあり得ないはずなのだ。

 ②格差

この本の要約を読んだ方は、
他にこんな本にも興味を持たれています。

格差は心を壊す 比較という呪縛

リチャード・ウィルキンソン 東洋経済新報社

スティグリッツ 資本主義と自由

ジョセフ・E・スティグリッツ 東洋経済新報社

ビジネスの未来 エコノミーにヒューマニティを取り戻す

山口 周 プレジデント社

絶望を希望に変える経済学 社会の重大問題をどう解決するか

アビジット・V・バナジー 日経BP・日本経済新聞出版本部