2013年10月号掲載

エコロジー的思考のすすめ 思考の技術

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著者紹介

概要

1971年刊『思考の技術・エコロジー的発想のすすめ』を改題・加筆したもの。立花隆氏の事実上の処女作で、エコロジー(生態学)の観点からのものの見方・考え方を説く。かなり以前に書かれたものだが、人類が滅亡しないためには工業社会的思考から脱却し、自然を畏怖せよという主張は、今も色褪せない。環境問題が深刻化する今日、一読の価値ある書といえよう。

要約

エコロジーとは?

 公害問題の深刻化とともに、にわかに生態学(エコロジー)が注目を浴び始めた。この、生態学という学問はいかなる学問であろうか。

 生態学は、生物学の一分野である。生物学者、E・ヘッケルは生態学をこう定義している。

 「生態学は、生物と環境および共に生活するものとの関係を論ずる科学である」

 生態学は技術ではない。生態学が教えるものは、技術をいかに用いるべきか、いかなる技術を発展させるべきかというソフトウェアである。

 現代文明においては、善悪の判断がつきにくいものが多い。

 例えば、モータリゼーションを進めることは、輸送力の増強、交通の便からいえば善、排気ガスによる公害、事故の激増という面からは悪となる。農薬の使用は、農産物の増産という面からは善、食物汚染、土壌汚染という面からは悪となる。

 こうした是非のつけにくい問題に正しい解答を与えてくれるものは、生態学的思考以外にない。

自然界の全体的把握

 生態学とは、読んで字のごとく生物の生活の容態を研究する学問である。その対象の種類によって、植物生態学と動物生態学に大別できる。

 他の科学は、これに対して「いかに」から出発して「なぜ」(why)を追求する。「なぜ」を追求することによって、現象の因果関係をたどり、そのもとにある原理にいたろうとする。

 リンゴが木から落ちる。なぜ、リンゴは落ちるのか? 重いから落ちる。なぜ、重いものは落ちるのか? この「なぜ」をたどって、ニュートンは重力の法則を発見する。

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